月舘町伝承民話集 -106/200page

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とんち小僧のはなし ニ

 むかし、えらい坊さんと小僧がさる寺にいたんだどぉ。ところがだん家では坊さんに、かめにたくわえた 蜂蜜を布施してきたんだどぉ。坊さんはそれを寒いときになめようと思い小僧に
 「小僧このかめには毒が入っ ているでなあ。勝手になめたりしてはいかんぞ。なめると死ぬぞ。」
そういましめて戸棚に隠してしまったん だどぉ。小僧はそういわれるとなめてみたくてたまらない。こっそり坊さんの出かけたあと、かめのなかの ものをなめてみると砂糖より甘い。盗み食いも一回だけでやめようと思ったがやめられない。かめを空にし てしもうほどになったんだどぉ。思案のあげく坊さんの大切にしてあった机のすずりをこわして泣いていた んだどぉ。
坊さんは帰ってきて 「小僧、なんで泣く。」と問いつめると
「おしょうさま、掃除をするとき、お しょうさまの大切なすずりをこわしてしまいました。おわびに死のうとかめの毒を飲みましたがいっこう死 なれず泣いています。」
これにはおしょうは怒るにも怒られず「困った。困った。」というばかり、この小僧の とんちのよさにあきれたんだどぉ。

とんち小僧のはなし ホ

 むかしむかし、だん家がお寺におはぎもちの重箱をもってきたんだどぉ。丁度お坊さんはほかのだん家へ 行って小僧がひとりでいて、重箱をのぞくとうまそうなおはぎもちがいっぱい入っていた。腹はへっている し、みんな食べてしまったんだどぉ。そしてあんを須弥檀の仏さまの口元にぬって、知らん顔していたんだ どぉ。
やがて坊さんが帰ってくると、重箱が空っぽになっているのに気づき
「小僧、この重箱のなかはどう したわけか」と聞きたヾすと、
「おしょうきま仏さまがみんな食べてしまいました。その証拠に仏さまの口元


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