月舘町伝承民話集 -108/200page
三人の小僧どもはこれを知って何とかもちを食いたいと思案し、一つの計を思いついたんだどぉ。
一人の小 僧は 「おれの名前はフーフーということにしよう。」他二人の小僧は「おれたちはハタハタとする。」と決め、 さてその晩になっていつものように眠ったふりをしていると、坊さんはコッソリ戸棚からもちをとり出して 灰のなかにくべて食べようとしたんだどぉ。そしてやがて焼けたもちを灰のなかからとり出して、熱いので 「フ−フ−」とさすりながら息をかけてさまそうとすると、小僧がとび出してきて
「おしょうさま、およびで しょうか。わたしは『フーフー』と名前を変えました。」と、手をついたんだどぉ。坊さんが次に炉ぶちでも ちの灰を落そうと、ハタハタたたくと他の二人がとび出してきて
「おしょうさま、およびですか。わたしど もは 『ハタハタ』と名前を変えました。」と手をついたんだどぉ。
坊さんは 「さては、はかられたか。小僧ど もにもわけてやらねばならぬわい。」と小僧どもにもおすそわけしてやったんだどぉ。二人の坊さんのはなし
むかし、わらじばきの坊さんが二人墨染の衣をひるがえし、編みがさに鉄鉢を片手にして、たくはつに出 かけていたんだどぉ。大きな川にさしかかった。橋がなかったので、川をこえて向こう岸に渡ることになった んだどぉ。ところがそこにたいへんきれいな女の人が旅装束でやってきて困りきっている様子。それで一人 の若い坊さんが
「さあわたしの肩に乗りなさい。向こう岸まで送って進ぜよう」と申し出たそうな。
女の人は 「ありがとうございます。」と礼をいって、若い坊さんにおぶさって向こう岸にたどりつき、いんぎんに礼をい って去ったどぉ。ところが他の坊さんはしばらく歩いて行ってから、カンカンに怒って
「女人なんかけがら わしい。きさまはそんな女をおんぶして何とも思わないのか。女人にふれるのは僧りょには禁制なんだぞ。」