月舘町伝承民話集 -110/200page
蛇のたたりのはなし
むかし、どこからやってくるのか百姓の家の鶏小屋に大きな蛇がきて、卵をのんでゆくのだどぉ。毎日のん んでゆくのでこれではたまらないと、蛇退治の方法はないものかと相談をして、次の日卵に縫い針を十文字 にさして鶏小屋に入れておいたんだどぉ。そうしているうちに大きな蛇がいくつか卵をのんでいたどぉ。
そ の晩百姓男がやすんでいると、その寝床で何か足の方で冷たいものが、からまっていることに気づいて、気 味悪くなって妻をよび起こし、あかりをともして足の方をすかして見たら、小さな蛇が足にからみついてい たんだどぉ。
「気味が悪い小蛇だ。なにこれしきでへこたれねえぞ。」
と気丈な男は鎌をもって来させて、からんだ小蛇をかき切って外に捨てて休んだどぉ。
あしたになって庭を見たら、かき切った蛇は七たんがら半も ある大きな蛇となっていて、これはあの卵をのみにきた蛇だったかと裏の山に葬って、そこを蛇塚として祀 ったという。今でもその蛇塚が残されているんだどぉ。