月舘町伝承民話集 -112/200page

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炭やきと猿のはなし

 むかしむかし、山の中に炭焼きの若い夫婦が住んでいたんだどぉ。そうして炭を焼いて米やみそなどと交 換して貧乏ぐらしをしていたんだどぉ。その夫婦に赤ん坊が生れて、うぶ湯を使うことになり、炭がまから 少しくだった堀立て小屋の外で湯わかし、赤ん坊にお湯を使ったんだどぉ。ところが山奥に猿が住んでい て、このうぶ湯を使うありさまを不思議そうに見ていたんだどぉ。若い炭焼き夫婦は赤ん坊をひとり堀立て 小屋に寝かせておいて、また炭がまのあるところで炭焼きをしていた。ふと見ると自分の家の方から煙が出 ているのが見える。囲炉裏の火はよくうずめてきたのにと不審に思って帰ってみると、猿どもが四、五匹火を たいてかまに赤ん坊を入れ、うぶ湯を使っているではないか。びっくりしてかけよってみると、その湯が熱 湯で、赤ん坊はとうとう熱湯でやけどをして死んでいたんだどぉ。猿まねという通り、猿は人のまねごとを するのかと若い夫婦は思いながら、子どもをなくした悲しみにしづんだんだどぉ。


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