月舘町伝承民話集 -128/200page

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狐にばかされた話

 この話は明治13、4年ころの実話である。

 その頃女神山のふもとに、七という50オ位の人がありました。この人がなにかのことで金が必要になった。それが、この人にはばかにならない大金だったのです。そこで七じいさんは、羽田の友達のところに金策に出かけた、それは日暮れ頃でした。そして羽田の才の内の下まで行ったところで、自分と大体同じ位の年配の男 の人に会いました。ところがその人が
 「これからおめえさん、どこに行くんだ、しんペい顔して」
と声をか けられたので、思案に余っていた時でもあったので七さんは
 「急に金がなくてなんねえことが出来たので、 羽田の友達のところに行ってみべえと思って出て来たが、友達のところでもどうかと思ってな、しんペいし ているところよ」と答えた。
ところがその人はいとも簡単に
「なんだい、その位の金か。おれは針道だが、 その位の金ならすぐに貸してやるからおれといっしょにやばっしえ。そればかりの金でしんペいしっことあっか、おれに任せてついてこっせい」
といわれた。そこで七やんは、友達のところに行ったって、果たして 貸してくれるかどうかも心配していたところでもあり、その人の後について行くことにした。川俣の町も通り越してずい分歩いたように思ったが、やがてちらちら火が見えてきた。
「あすこがおれの家だ」
と指さしな がらその人は、ずんずん行く。行ってみると、大きな構えの家で大勢の人がいるようである。そこで主人は
「おういおっかあ、今来たぞう。伊達のお客様をおつれしたから、何でもうんとごちそうしてくれや」 といっ


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