月舘町伝承民話集 -132/200page
猿は蛙から知恵者といわれて得意気だった。
猿「それよなあ、うめいものは今すぐ食うべえと思 ってもできねえんだ、これからおめえさんと田んぼを 作り稲を作って秋にはなんぼう食ってもたべきれねえ 程のいっぱい餅ついてな、狸どんのように腹鼓をうっ てみていもんだなあ。」
蛙はひときわ大きな丸目玉をギョロッとむいて「そ れは賛成、大賛成だ。」と大よろこび、かくして田をつ くる相談は決った。
やがて花も咲いて暖かになって来た。百姓は毎日せ っせと苗代を作り種まき準備に忙しい、それでも猿か らはいっこうに相談した田んぼ作りの話がない。正直 者の蛙は気が気でない。そして猿どんを訪ねてみた。 猿は日だまりに長々と寝そべって気持よさそうに昼寝 の真最中である。
蛙「猿どん、猿どんよその家ではみんな種まきの用 意をしているよ、おれも気がもめてなあ。猿どん都合