月舘町伝承民話集 -153/200page

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糠田の政所と道官敷の推考

 糠田中ノ内の向側に政所と道官敷という字名があり、宅地跡と見られる所がある。現在は畑地になってい るが明らかに山を切り崩して宅地となった事が明瞭である。一般にドウゲージキと呼びなされているが、筆 者はこの字名に興味を覚えるのである。

 字名は道官敷と政所と隣り合せている。この政所と道官敷とは一体なにを意味するのか、この地方にそれを 物語る伝承は何一つ残っていない。政所とは政治を司どる政庁であり、この場合、当時の政治について一切の 権力を握り、生殺与奪の権を扱った政庁と考えればよいであろう。

 では道官敷とは何か。私はこんな風に推測している。政庁に勤める人たちの宿舎では無かったろうかと。 元は道官屋敷が道官敷に略称されたのではないだろうか。旧小国村より糠田字長畑へ越える所に道官山とい うのがあるが、これは糠田の政庁に往復する通路からの名称ではないだろうか。では道官とは何か。現在の 道官が元のままの道官であるのか、変ったかも知れない。あるいは昔のままかも知れないのであるが、現在 の字句から考えられるのは、荷駄の往復とか通行人の利便のために、常に道を監視する特殊な任務をも合わ せ持ったものではなかったろうか。それは飯野町大久保に政所の字名がある。霊山町石田に政所があり、福島市飯坂町に政所があり、伊達崎上郡にある。(未確認)これに線を引いて見ると、大体12、3キロ毎にある 事になるが、川俣町小綱木辺にもあるかも知れないが調査中である。更に伊達郡に1、2ヶ所あるのではない かと思うが調査を依頼している。けれども糠田以外に政所と並んで道官の名称は今のところ見当たらないの


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