月舘町伝承民話集 -155/200page
とか、将門は大蛇が美女に化けてその国の若殿と恋し合って大蛇から生れたが、生れると全身を母の大蛇が なめたので皮膚は鉄の如く、弓矢も通さず剣でも切れないので、どこの戦でも敗けた事がない。だが、こめ かみの一ケ所だけ母がなめ残したので秀郷はこの、こめかみに矢を射込んで倒したのだそうだとか滅法強い 大将だったとかだけで、この地方に君臨した政者らしい話は何一つ残っていないけれども、神仏を崇拝し 一粒の米も農民の汗の結昌である事を知って自らを律し温かい思いやりと、大らかな撫育は領内民衆より 敬慕された大将軍ではなかったろうか。そんな連想も湧いて来ている今日ごの頃である。