「ふるさとの小径を行く」 -010/168page
本田氏の居館
岫館跡と笠松大字布川字岫の山合に昔本田氏の居館があったといわれます。四十坪(一.三アール)程度の平坦地がわずかに館跡をしのばせるのみですが、ここを中心にして約四畝歩(四アール)ほどのものであったと伝えられています。
本田氏は月見館須田氏の重臣でしたが、伊達氏との戦いの後月見館を去って当地に住むようになったと伝えられていますが詳しい記録は残っていません。
館跡とみられるところから水田をはさんで東方約八十メートルの向い山に、根廻りニメートルを越す巨大な笠松があります。数年前の大雪で主枝の一本が折れ、容姿を損ったのが惜しまれます。この根元に十基の石塔があり、その主なものに造立年代の不明な子母田山神塔、湯殿山や寛政四年の猿田彦大神などがあります。また、奥にある小社は本田氏の氏神である最滝大明神の遥拝所で、本社までは遠いのでここで遥拝し祭礼を行なっているところです。大正の頃までは出店なども出て終日賑わったといいます。今でも部落の集会をはじめ一族の心のよりどころとして大切に維持されています。