「ふるさとの小径を行く」 -038/168page

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椚平(くぬぎだいら)薬師堂

 御代田、椚平の小高い山の頂きにある御堂が薬師如来を祀る薬師堂です。

 本尊の薬師如来像は、三十センチの木製、金の漆塗で立派なものです。仏像に記された文字から京都で造られ、何かの機縁で当地に祀られることになったものと思われます。本像はもともと個人宅にあって拝まれ、守護仏として親しまれてきたもののようにみられます。現在も常時は近くの高木家に安置されています。

 信達二郡村誌には「本尊仏薬師如来文治二年丙午泉三郎忠衡建立すと云伝う…」と記されていますが、糠田の薬師堂と混同しているようです。また、この薬師如来を祀るようになったいわれとして、江戸時代に仇討ちの件で生き埋めになった老婆があってその霊を慰めるために、生前信仰していた薬師如来像をお祀りしたのだという話も残っています。この老婆が生き埋めになったところは、この堂から西へ五〇〇メートルほどのところにある石塚だといわれていて、今も参詣人が香花を手向けております。この周囲も今では畑になっていますが、いくつかの屋敷跡です。

 この薬師堂の周囲には廿三夜、庚申の石塔が立ち地域の人の信仰の様を偲ばせてくれます。

椚平薬師如来像
椚平薬師如来像


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