「ふるさとの小径を行く」 -042/168page
境ノ目の蛇王権現と山ノ神碑
境ノ目から石田への県道沿い、月舘最後の人家を過ぎて五十メートル程のところにある墓地の傍らから山頂に向って小径をたどると、頂上近く、老松と岩石の見事な組み合わせをみせる絶景の地に「蛇王権現」の小社があります。訪れる人とても少なく荒れた感じですが、嘉永五年再興の板札も納められていて古くから祀られていた様子がうかがえます。
現在では養蚕の守護神として地域の人たちの信仰を集めています。ゴマとケシは蛇王権現の御使として一般は栽培できないものとされてきました。その風習も自然に忘れられるこのごろ、九月の例祭もあまり盛大ではなくなりつつあります。蛇王権現の縁起等はわかりませんが、このあたりは岩地で変化に富む地形のためか蛇のたいへん多いところと言われます。蛇の霊を慰める供養が起こりと考えられます。
県道をさらに石田へ進むと右手雑木林の中に高さニメートルになんなんとする巨大な自然石に「山神」と彫った碑があります。文化六年の建立です。古老の話では、この地域の山の神講の中心となっていたとのことです。
この碑のすぐ下をかつて県道が通っていました。まるで道標のように格好の目印にもなっていたようです。