「ふるさとの小径を行く」 -049/168page
愛宕神社
月見橋の西、三百段近い急な石段を昇りつめると愛宕神社があります。祭神は可遇突智命で、以前は愛宕権現と称し、慶長のころは下糠田村築館字上関分でありましたが、明治四年築館を月舘と改称、同七年の地祖改正により御代田に編入され愛宕大権現を愛宕神社と改めました。明治十一年に社殿を造営して今日に至っています。
信達一統誌には「本尊将軍地蔵尊」と記され、さらに、将軍地蔵尊は修羅闘争の瞋恚を調伏し太平静謐を加え給う云々との説明がつけてあるので、当地 方にあっての重要な社であったことが伺えます。愛宕権現の本地仏は将軍地蔵とされるので本尊となったものと考えられます。文化の初期までは別当正光院清水寺清音坊法印がいて全盛を極めたといいます。現在、二間半四面の社殿はたいへん荒廃していますが、造作から住時の盛況が偲ばれます。なお、この地は殿上館の一角にあって物見の役割を果たしていたとも考えられます。
境内の南端にある堂は「観音堂」で、祀られてい