「ふるさとの小径を行く」 -055/168page
徳明の馬頭観世音
布川の熊野神社の向い、徳明の橋を渡って山道へはいると、すぐ右手に九十センチ程の忿怒相の馬頭観世音像と、その左に「馬頭観世音・妙法農耕馬佛」明治三十六年と刻まれた石塔が立っています。碑面から見て、農耕馬の供養碑であるとみられます。
馬頭観世音像には、享和三年(一八〇三)三月七日、加藤…と二名の名が刻まれているようですが風化が激しく、よく読みとれません。
この所も、明治のころまで「はくらく」によって馬の健康診断や、爪の手入れなどが定期的に行なわれていたところといわれています。
三淀ヶ入不動尊と磨崖仏
布川の清流を溯ると、字下神山の岩をかむ急流のほとりに不動堂があります。この辺は昔「よど」になっていたので「みよどがいり」という地名がつけられたといいますが、下神山よりは三淀ヶ入の方が一般的です。
御堂内の不動尊像は、貞観元年文覚上人の作と言われたものだったそうですが、御堂内に寝泊りしていた浮浪人によって持ち去られたと伝えられています。現在は、石造の不動尊像をお祭りし、七月二十七日が祭日です。