「ふるさとの小径を行く」 -056/168page
また、御堂に向って右手の岩肌に、享保八年(一七二三)癸卯の年号のある半肉彫の磨崖仏(まがいぶつ)三十四観音像が刻まれています。花崗岩に彫られた観音像は二百年の風雪によってかなり風化はしていますが往時の面影を残しています。三十四体の観音像は、三十三観音に結願として一体を加え三十四体としたも のではないかと考えられます。三十四観音は秩父地方にその例が多いとのことです。作者ならびに寄進者はいろいろと伝えられておりますがその裏付けとなるものは見当たりません。
この磨崖仏の周辺には、巳待供養塔、日待供養塔などの石塔が立ち並び、すぐ上流にある御前堂とともに、昔の部落の人達の信仰の様が偲ばれて心安らぐものがあります。
昭和四十二年月舘町教育委員会では当磨崖仏を町の重要文化財に指定し、その保護につとめることにしております。