「ふるさとの小径を行く」 -057/168page

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小手姫を祀る
布川の御前堂

 県道月舘臼石線、バス停「御前堂」の南、布川の清流を隔てて静かな木立ちの中に立つ御堂が「布川の御前堂」です。二間に二間の御堂は、つつましく小手姫への信仰を今に伝えてきています。

 昔、小手姫がこの地においでになり、里人に養蚕と機織りの業を教え伝えたので、その御恩に感じた里人達の手によって祀られたものとの言い伝えがあります。

 堂の近くに、姫が使われた筬(おさ=織機の象徴とされる道具)を埋めたといわれる「筬塚」がありまた、御堂から五十メートル程布川をさかのぼったところには、姫が布を晒した(布を白くするため水で流うこと)という「布晒石(ぬのざらしいし)」があり、今でも巨岩の上を清流が走っています。

 このように、数ある小手姫伝説の中心にこの御前堂があり、この辺一帯は神域として地域民の信仰の場でもありました。

 今でも、御堂の格子には数多く繭が下げられ、信仰の続いていることがうかがえます。

 大正二年には、岩倉卿が、小手姫ゆかりの地としてここにおいでになり、盛大な祭祀を行なった記録もあり、布川の御前堂は近隣にも聞こえたところとなっているのです。

御前堂
御前堂


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