「ふるさとの小径を行く」 -058/168page

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竹の内観世音

 赤井堂から西の方へ橋をわたって小径を辿ると、桜の古木の参道の奥に萱葺きで二間四方の堂宇があります。これが小手三十三観世音の二十五番札所、勢至観 世音菩薩をまつる観音堂で一般に竹の内観世音と呼ばれています。

 御堂内には、四〇センチ角、高さ七〇センチの厨子があり、中には台座とも高さ三十センチ、寄木造りの観世音様が鎮座しています。

 信達一統誌によれば「大悲閣、竹ノ内という所に安置す。三月十七日祭礼なり、詠歌に『布川や波おり来てし水上のいと澄渡るあや竹の内』云々」と記 されています。

 当勢至観世音は、当地の斎藤五左エ門が信夫郡山口村より移住のとき、文字摺観世音の御分霊としてまつったものです。

 現存の御堂は、記録によると斎藤五左エ門の分家が七軒となった天明元丑年(一七八一)十月二十八日に起工し、天明三卯年(一七八三)十月二十八日に入仏式を行なったものです。

 今次大戦直後までは、本堂の前に九メートルほどの石畳があり、その先に、二間に五間の楼門の形をした行屋がありました。昔は、部落の信者の人たちがお籠りなどをしていました。

 境内には、青葉山、百万遍供養塔、庚申塔など数多くの石塔が立ち、また、二重墓制の墓碑も沢山建てられてあります。

竹ノ内観世音堂
竹ノ内観世音堂


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