「ふるさとの小径を行く」 -068/168page
犬飼公民館前の石塔群
犬飼公民館の前に累々と石塔が集められています。主だったものをあげると、道路に面してニメートルを越す「湯殿山」(文化六年)「蠶」(文化九年)「二十三夜待塔」(文化九年)「金華山」「百万遍供養」「摩利支天」「青面金剛像」「庚申」と民俗信仰の見本市のようですが、いずれも一メートルを越す巨大なものであり、これらを造立した人々のエネルギーにまず圧倒されます。
この地は、かつて、行屋のあったところで、明治の年代まではいろいろな行や集会が行なわれたところでありました。明治の排仏棄釈の折、そちこちに建てられていた石塔をここに移したため、このような石塔群ができたのだといいます。
公民館の北側の斜面には、墓碑がまた数多く集められておりますが、この中に格子のようなものが前面にはめられた石祠があります。古くからキリシタンのものと伝えられ、地域の人々も特別なものとして恐れ崇めてきたものです。しかし、地域の人たちの中にはかくれキリシタンについての言い伝えもなく、今でははっきりしないものになっています。何らかの傍証が見つかればたいへん貴重な史料となるものです。