「ふるさとの小径を行く」 -071/168page
布川庚申坂の百庚申
町水道の浄水場の南に接して、お椀を伏せたような小さな山があり、参道及び山頂には老松が茂り、常に松籟(らい)を聞くことができます。県道改修のとき、山裾を切り、布川のつけかえをしたので高さ数十メートルの滝もでき、風光明眉な小公園となりました。
浄水場の傍らより、山頂に至る小径の両側がいわゆる百庚申で、数知れね庚申塔が立てられ一大奇観を呈しています。山頂の一段と高い土壇の上には、石造りのお宮があり、祭神は天神様、その隣りに大きな自然石の「百庚申」があります。
このあたりでの庚申信仰がいつごろより行なわれているかはわかりませんが、塔の年号からして享保以降であろうと思われます。造塔につきましても、数年に一度廻り来る七庚申のときに建てたとも言われますがよくわかりません。
最も新しいものは、昭和五十三年建立になるものです。まだ信仰が失なわれずに続いています。
最近、桜の植林も行なわれ、将来は桜の名所として町民の憩の場になることでしょうが先祖農民の信仰心を思い起こし、あらためて庚申塔にこめた願いを偲んでみたいと思います。