「ふるさとの小径を行く」 -072/168page
片草の百庚申
二枚橋に至る旧県道、片草地内の急斜面に幅ニメートル程の参道をはさんで大小の庚申塔が文字どおり百近く並んでいます。
参道を登りつめた正面に、百二〇センチの高さの自然石に(百庚申、明治二十七年十月十七日)の塔、左右に「青面金剛像」(庚申講の御本尊)二基が建てられています。
このおびただしい庚申塔は、部落内のそちこちに散在していたものを移したもので、造立年代も明治三年とか、それ以前のものもあります。年代を刻まないものは、当地に移したときに製作し、合わせて百庚申としたものといわれています。
当部落では、現在でも庚申講が続けられており、毎年の初庚申の日に講中が集まっています。会場は講中の家を回るわけですが、宿送りになっている箱の中には、嘉永七年(一八五七)の記録のある古扇も入っており、それ以前のものは骨ばかりになって読めません。江戸時代から続いている行事であります。
講は、庚申真言を三十三回唱え、その後、宿(当番)の酒肴を馳走になるということです。