「ふるさとの小径を行く」 -077/168page

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堂ノ入の延命地蔵

 細布の野竹内の近くに、明寺、下明寺、堂ノ入の地名があり、昔この辺に寺か庵のあったことが推察できます。この堂ノ入に小さな石の祠があり、中に十八センチほどの石の延命地蔵尊が安置されています。

 ここには、かつて修験者の道場があったといわれていて屋敷跡も伺うことができます。その当時より祀られていた地蔵尊といわれていますが製作もあまり古いものではなさそうです。その後、明治三十三年、田代市左衛門氏が地主と相談をして小さな石堂を建て、地蔵尊を安置したのが今日見られるものです。

 この御堂の入口に古い井戸があり「お目洗の井戸」と呼ばれ、洗うと眼病がなおると信じられてきて、ご利益を求める人が絶えなかったと言われています。

 この井戸のそばに寛保元年(一七四一)建立の巳己供養塔と、嘉永已西(一八四九)建立の名号碑(南無阿彌陀佛)があります。とくに後者の建立者は、女連中八人と刻まれております。女性だけの手になる供養碑は何を祈ったものだったのでしょうか。

堂ノ入の延命地蔵
堂ノ入の延命地蔵


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