「ふるさとの小径を行く」 -090/168page
梶内の稲荷神社
館ノ腰より町道笠松線を六〇〇メートル程入ったところ、菅野氏の裏手に稲荷神社の小祠があります。稲荷神社のシンボルである赤い烏居から見上げると目通り一五〇センチになんなんとする老大松の根元に、杉の木にはさまれたような形でかや葺の稲荷神社がまします。社殿そのものは、小さな祠ですが、老松と老杉の根が地表に露出し、巨人の指のようにからみ合った様は、自然の力の偉大さをしみじみと感じさせてくれ、参拝者をしておのずと敬虔の念に打たしめます。
稲荷、蛇類、山神が祭神で、社殿内には、文化三年寅(一八〇六)明治二十一年の記録も残されており、古くから部落の人々の信仰の場であったようです。毎年、旧初午が祭日で、部落の平和と豊作を祈念しています。社殿に奉納された繭玉にも農民の祈りがこめられているようです。境内には、社殿のほかに、「太子」や、「馬頭観世音」の碑も建てられています。ちょっと神秘的なふん囲気のただよう所です。