「ふるさとの小径を行く」 -107/168page
月ノ宮神社
県道二本松線、川俣との町境・字障子より北へ五〇〇メートル、女神山の麓・字月の入に月ノ宮が鎮座まします。鳥居、燈篭、石段など整然とした配置の小さいながらまとまりのある社です。
創建の伝説には、舘石の斎藤氏の宗家の産土神境内の大槻木の根本に大蝦蟇が出没するので、それを長屋の敬神家が背負い、我家の乾方に祠を建てて祀り「月ノ宮」と称した。とあります。字長屋二一番地、斎藤文吾氏宅の後ろの竹籔がそのところで、墓石が残っています。なぜ「月ノ宮」と称するのかはわかりません。
人々これを養蚕の神として信仰することになり、天保十四年(一八四三)現在地に遷り、祭神として月読命を祀り、毎年五月二日(八十八夜)を例祭日には、近郷近在のみならず、遠く宮城県からの参詣者も絶えません。
神前には、豊蚕祈念や御礼の気持ちをこめてたくさんの繭や繭を使って作った「おうさぎ様」が供えられるほか、祭りには「蚕大当たり節」も歌われてきましたが今はほとんど聞かれなくなっています。