「ふるさとの小径を行く」 -108/168page

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蛙の鎮魂碑
金石供養塔

 上手渡の金石停留所の南の方、水田のはずれに、大きな花崗岩を台石にして、高さ一メートル余、約四十七センチ角のこれも花崗岩でできた供養塔が立ってい ます。これが「金石供養塔」とか呼ばれているものです。

 碑面の中央には「南無阿彌陀佛」に向かって右に「寛延四年上手渡村立石」(寛延四年は一七五一年=宝暦元年)左に「九月二十一日×××、下の三〜四文字は読めません。

 その昔、この地にたくさんの蛙が集まり、東西に分かれて争い、その騒がしさに困り果てた村人が、名主の斎藤市郎兵衛と相談して名僧を頼み、七日七夜の供養行をして蛙を退散させたところという話が伝わっています。(伝承民話集)

 台石の上に作られた丸いくぼみは、そのとき鐘の代わりにたたいたためにできその跡から鐘石−金石の名が起きたといわれます。

 ヒキガエルが産卵時、一定の地に集まって大騒ぎをすることから、「かわず合戦」などの話は各地にありますが、供養の形で騒ぎをおさえようとしたところに先祖の心がしのばれます。今でも地主斎藤氏は、旧十月十日の虫供養には餅を搗き、供えています。

金石供養塔


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