「ふるさとの小径を行く」 -120/168page
鳥井戸の廿三夜塔
町道上手渡線飯盛山の山裾に立つ高さ一メートル余、径四十センチほどの御影石の石塔が上手渡の蚕神・廿三夜塔です。
正面上部に日天月天を左右に刻み、縦に大きく「廿三夜塔」両側に「文化八年」(一八一一)「三月吉日中」と刻まれています。
昔、この塔は、字鳥井戸山二十五番地に建てられ、祭神を月夜読命、養蚕の守護神として里人挙って信仰して来たものです。昭和二十七年三月より、上手渡三番組部落の蚕神として、養蚕組合、地域婦人たちの心の拠り所となってきました。
昭和四十九年町道上手渡線の工事に伴ない、現在の地に遷座したものです。
旧三月と九月の廿三日、例祭を行ない、二十三夜の月の出を待ち、その月に養蚕安全を祈念しました。二十三夜講と蚕神が結びつき、それが部落意識を育んできたことは、養蚕の地ならではの現象といえましよう。