「ふるさとの小径を行く」 -145/168page
緬羊記念碑
国道から上手渡線の分岐点に、石垣で築かれた台座の上に、高さニメートル、幅一メートルの記念碑が建っていますが、これは、わが国の緬羊飼育の先駆者としての業績と誇りを後世に伝えんがため、昭和九年に建てられたものです。
内容のあらましは、伊達郡は畜産の業が振わないために自給肥料の生産が少なく、化学肥料の消費額が増加しているし、我国の羊毛の輸入も年を追って激増していることを憂いた旧小手村の佐藤五郎・佐藤銀一、坂本稀三、旧月舘町の熊坂六郎兵衛等が緬羊飼育の有望なることに着眼し、大正九年に千葉県より支那種数頭を買入れ、共同飼育を始めた。その結果、自給肥料の増産、羊毛羊肉の販売や加工が農家の副業にも有利であることが認められた。
そこで、小手郷殖羊組合を設立して事務所を下手渡に置き、郡下に緬羊飼育を広めることにした。このことは、全国各地から注目されるようになり、国からも指導の手がさしのべられ、伊達緬羊の声価が全国に知られるようになった。このため、緬羊事業の発祥の地を記念して碑を建てるとあります。
現在、町内では緬羊の姿を見ることはなくなりましたが、つい半世紀前までは羊毛の生産県として福島は全国一の地位にいました。その隆盛の基となったひとつが月舘の先人たちの事業によるものだったのです。月館の誇る記念碑でありましょう。