「ふるさとの小径を行く」 -149/168page
呼石と庚申塔
月舘の七石にかぞえられる呼石は、細布の三拍子と峠への分岐点にある大石です。「呼び石」「呼ばり石」「呼ばれ石」といろいろ言われますが、反対の山からこの石めがけて呼びかけると見事にこだまが返るので、そこに人が居るように思われることから名付けられたといいます。
建武の昔、手渡八郎が阿部野の戦(大阪)からようやく生きのびて帰郷し、行方知らずになった妻子の名を呼びつつ訪ね歩き、遂にこの石の上で果てたという伝説があります。この石が応えるかのようにこだまを返すことからできた話と思われます。
呼石の根元に、大きな庚申塔が建てられています。安永五年の建立ですが、この碑面に「右やしき道、左そうま道」の道標が刻まれています。この碑が建てられたころは、碑の向きが反対で、月舘方向から来た人に知らせるものでした。当時は、峠道を通って古田の方へ出る道が主要道で、三拍子方面はほんの屋敷道 だったのです。