「ふるさとの小径を行く」 -150/168page
力石
細布の倉ヶ入、菅野氏の庭にあります。およそ百十キロほどといわれ、直径三十五センチぐらいの丸い石です。表面に「力石」と小さく彫ってありますが、これは石の意味を知らせるために彫ったものとみられます。あまり大きい石でもないのでちよっと力を入れると動きそうですが、どうしてなかなか持ちあげることはできません。
明治のころは、祭日や休日というとよく若者が集まって力だめしをするのに格構な石として使われたようです。肩まであげることは容易でなく、たいていの若者は膝の所まで上げるのが精いっぱいというところで、胸まで上げたものは明治以来たった一人だといわれています。
昔は、各地にこのような石があったようですが、忘れられずに残っているのは少なくなりました。大切な記念品といえましょう。