「ふるさとの小径を行く」 -152/168page

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堂ノ脇乳銀杏

堂ノ脇乳銀杏
堂ノ脇乳銀杏

 糠田上ノ坊にある、根廻りが七・五メートル、目通り八メートル、樹高二五メートル、樹影面積三アールという近郷まれにみる老巨木で、樹齢は四百年前後と推定されています。大枝から気根が多数垂れ下がっている姿から「乳銀杏」と呼ばれてきました。乳不足の母親が、乳が出るようにと甘酒を竹筒に入れて樹下に供えて祈願し、気根を切って持ち帰る風習があったため一時は樹勢が著しく衰えましたが、このごろではその風習もなくなり、往時の活力をとり戻しています。

 銀杏の木の西の石段を上ると、祖師堂と呼ばれる聖観世音像を安置する観音堂があります。小手郷巡礼札所二十七番で、御詠歌に「おも稲の草を糠田と詣て来て、人の心の実らざらめや」とよまれた、上の坊の観音様です。

 この地は古く月花山中福寺というお寺のあったところと言われてきています。現在、上の坊・坊田をはじめ坊のつく地名があることや、近くの墓地にある享禄三年(一五三〇)の墓碑などは古寺のあった証拠であるといわれます。この寺は一五六〇年頃には無住寺となり、壇徒も岳林寺に移って廃寺となりました。(岳林寺記)勿論、寺としては糠田の薬師寺に次ぐ古いものとみられます。畑中の経塚なども合わせ


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