「ふるさとの小径を行く」 -157/168page

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上手渡道改修記念碑

道路改修記念碑
道路改修記念碑

 上手渡線沿い、小志貴神社から北へ百メートル程の右手に二基の石碑が建っています。左の大きい碑が「佐藤直君の頌徳碑」(一四四ぺージ)で、その右手の少し高く建てられているのが「上手渡道路改修記念碑」です。

 碑面には、里道二等線福島県伊達郡小手村大字上手渡道路改修工事明治卅九年四月三十日県税補助申請、仝年六月一日許可、仝年七月十六日起工、仝年九月廿六日竣工、明治卅九年九月建立、と刻まれ、下に県知事有田義資、郡長馬場直人、村長斎藤市之助ほか工事関係者の名も彫られています。

 明治三十八年は、天明三年(一七八三)以来の凶作で、七月から霖雨つづきで、開花期に雨のために登熟せず……という状態で、福島市の平野では十アール当たり八合(一・ニキログラム)しか収穫できなかったといいます。まして、山間地域の当町にあってはその悲惨さは平野以上と考えられます。かくて、農民の窮状を救済するために、県の補助事業による道路改修工事が行なわれ、小手地区では、糠田から下手渡と、上手渡から下手渡への二道路の工事が行なわれたのです。記念碑のかげに、農民の血の滲むような苦労のあったことを記憶すべきでしょう。(凶作の資料は福島市史4より)


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