上川崎和紙 -005/017page

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世界の芸術家たちに愛された和紙。

 日本の和紙は欧米でも高い評価を受 けてきた。江戸時代に訪れたシーボルト、 ケンペルなど欧米の学者たちが、その素 晴らしさを賞賛している。またレンブラ ントやピカソも、日本から送られて来た 漆器を包んでいた美 しい和紙に驚嘆。版 画などに求めて使っ ている。変質しにくく、長い間の保存にも変色せずに耐え られる強さは欧米人にとっても驚きで あったのだ。  明治になり、開国されてある程度自 由に往来が認められると、和紙の評価 はいっそう高まった。1862年にロンド ンで開かれた万国博覧会では、初代駐日イギリス公使オールコックが集めた70種類以上の和紙が出品され、来場者 の人気を博している。以来、日本の和紙 は世界中の著名なデザイナーたちによ って、インテリアや照明素材として広く 活用されている。

ひっそりと受け継がれる 上川崎和紙の伝統。

 上川崎の集落は大正から昭和の初期 までは、冬場の農閑期に紙を漉く農家が 三百軒以上あった東北最大の和紙の里だ った。しかし洋紙の機械技術が進むと共に、 印刷技術などの関連産業の近代化につれ、 和紙の需要は激減。いまではわずかに数 軒がひっそりとその伝統を守り続けてい るだけになってしまった。しかし、和紙の持つあたたかみや素材の質感に魅せられる人も多く、和紙を利用したオリジナリ ティ豊かな商品の開発も各方面で行われるようになっている。

昭和40年頃の「楮だし」の様子

和紙製品 箸包み等

和紙工芸品


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