須賀川市人物読本 先人のあしあと -002/134page
「これは、江戸の風景かな」
「はい、あたご山から江戸の町を見たところです。」
「じつにみごとな絵だ。木々の葉や遠くの屋根のひとつひとつにいたるまで、ていねいにえがかれている。しかも広々とした大きさを感じさせる絵だ。いったい、だれがかいたのかな」
「この近くに住む、永田善吉(田善のこと)という絵師(し)でございます。なんなら、よんでまいりましょうか。」
定信は、この絵師のカにおどろきました。「きっと自分の仕事のうえで役に立つ人物だ」と思いました。
こうして田善は、松平定信にみとめられ、江戸の松平やしきによびだされることになりました。
江戸は、たくさんの人でごったがえしていました。定信は、江戸についてまもない田善にオランダの本や、西洋の馬の版画(はんが)を見せ、