須賀川市人物読本 先人のあしあと -044/134page
月日のたつのははやいもので、荒池のあばらやにおちついてから、はやくも十余(よ)年が過ぎました。
安積の大地はつぎつぎに水田がひらかれていきました。須賀川の近くの仁井田村まで、疏水の水は流れていきました。間もなく須賀川まで流れることだろう、と久敬は思いました。
「あらたのし田毎(ごと)にうつる月のかげ」という句は、田に水がみちあふれているようすをよんだ句です。久敬の喜びの姿(すがた)がしのばれます。
明治二十五年五月二十一日、久敬は病が重くなり、郡山の如宝寺(にょほうじ)の偉(えら)いお坊さんの
小 林 久 敬