須賀川市人物読本 先人のあしあと -047/134page
江持洞門(えもちどうもん)と佐久間亀(かめ)五郎
「ピーピー、ピーヒョロロ……」
秋晴れのきょうは、朝から神楽(かぐら)ばやしのふえやたいこの音が、村中にひびきわたっています。十月十五日は、江持(えもち)村の秋祭りの日です。
きょうの祭りは、いつもの年とちがって、江持の洞門が完成し、そのお祝いも行われるのです。そのため村人たちが家族づれで、ぞくぞく神社へ集まってきたのです。明治二十一年(一八八八年)のことでした。
新しくできた洞門の南入口に紅白(こうはく)の幕(まく)がはられ、村の世話人(せわにん)をはじめ、多くの人たちが集まっていました。一番前の席には、はおりはかまで、胸には大きなリボンをつけ、日やけした、たくましいからだの人がおりました。この人が洞門の工事をうけおって完成させた佐久間亀五郎です。