須賀川市人物読本 先人のあしあと -104/134page
植えてくれるようにたのみました。
また、伝右衛門は、日本人がだれも見たことのない羊をかいたいと考えました。そして、半之助に千葉県にある牧場にいって羊のかいかたを勉強してもらいました。明治十一年のことです。
伝右衛門は、横浜のアメリカの外交官から三十五ひきのメリノという種類の羊を買いました。汽車はもちろん自動車もない時代ですから、半之助は羊を馬車に乗せて運ぶことにしました。これは、何日もかかるたいへんな仕事でした。とちゅう何びきかの子羊が生まれましたが、かわいそうにみんな死んでしまいました。長い馬車の旅が終わりました。
羊たちはつかれはてていましたが、なんとかぶじに須賀川に着きました。しかし、こまったことができました。羊の牧場をはじめるには、役所のきょかがいるのですが、なかなかでないのです。しかたがないので、伝右衛門は、きょかがでるまで小さな小屋の中で羊たちをかうことにしました。