須賀川市人物読本 先人のあしあと -105/134page
羊は野原でかう動物です。せまい小屋の中にとじこめられたままでは病気になってしまうのはあたりまえです。羊たちにひふ病や肺炎(はいえん)が広がり、つぎつぎにたおれてしまい、生き残ったのはたった四ひきでした。羊たちもかわいそうでしたが、伝右衛門もがっかりしました。三十五ひきの羊を買って須賀川につれてくるのに、たくさんのお金がかかりました。そのうえ、広々とした牧場で羊をかうゆめが消えてしまったのです。
しかし、伝右衛門は、そんなことではくじけません。次(つぎ)はさとうきびからさとうをとる仕事です。さとう大根もさとうきびも、昔は日本にありませんでした。
明治十二年、伝右衛門は、津田仙(つだせん)から中国のさとうきびを分けてもらいました。こんども半之助が伝右衛門にたのまれて山形県に行き、津田仙のおでしさんにさとうきびのつくりかたを習ってきました。
伝右衛門は、馬のほねをやいて粉にした肥料や、いろいろの肥料を使ったので、さとうきびはたくさんとれました。さとうは、さとうきびのくきをおしつぶして