須賀川市人物読本 先人のあしあと -112/134page
ケサは、父に思いきってうちあけました。父は、
「それもよかろう。けれどケサ、もっとも重いかん者の友となるのでなければ医者としてのねうちはない。人にまねのできない医者になれ、わたしもできたら医者になりたかったのだよ。」
といって喜んでくれました。
それからのケサは、昼(ひる)も夜も一生けん命、医学校に入るために勉強をしました。
入学したときは二十一才でした。ふつうなら、けっこんしている年ごろです。ケサは、成績もよく、校内の新聞づくりでも文章が上手(じょうず)で、友だちを感心させました。
ところが、二十五才のとき、セキリという伝せん病にかかってしまいました。そればかりか、心ぞう、じんぞうまで次々と悪くなってしまったのです。
「ああ、せっかくこころざしをたてたのに、このまま死んでしまうのか。」
と苦しい息(いき)の中で何回もつぶやきました。みんなも心配しました。家族や、医学