長沼町の伝説 -006/224page
永泉寺開山麒山馨麟大和尚が江花村からの帰りに通りかかったら、「寝だか、寝だか」と呼びかけられた。
和尚一首の偈を詠んだ。「汝是纓々一箇身、能依虚実魅愚人、天通千歳豈非狐、報徳讐怨勝以神」とほめ るとさすがの狐も本性をあらわし、尻尾を巻き、首を垂れて和尚を拝したという。
(「長沼名義考」より)
家老内山の箒栖大蛇 《長沼》
家老内山または、風越山ともいう。
昔、この山に大きな楢の古木があった。神代の頃より育った 木で、直径二丈(約六・五メートル)高さ三丈(約一○メートル) 余り、さながら箒を逆にした形に似ているので箒楢と呼ぶよう になった。この木もいつしか衰えて樹の中心が朽ちて、箒の技 間に一つの穴ができた。この穴にいつ頃よりか大蛇が住み、家 老内山の上の池に時々水呑みに出たという。
この山に行って大蛇を見た村人の中には、大病となって死ぬ 者が出たという。この病を俗に「モツケ病」といった。