長沼町の伝説 -007/224page
寛政の頃、この大木に雷が落ちて、七日七夜燃えて倒れたといわれる。燃える最中、長沼の里まで悪 臭がただようので、村人は不思議に思い、火が消えてから行ってみると、灰の中に「まぐろ」の中骨のよ うな大きな骨が沢山あった。人々は驚き顔を見合せて歎息し、人に危害を及ぼさぬために天が落雷させ てこれを退治したんだと、一同喜んだという。
(「長沼名義考」より)
水無の六兵衛貓(かな) 《長沼》
長沼と志茂の間に水無屋敷がある。六兵衛という名主がいて、猫を永く飼っていた。
この猫が、ある時、永泉寺門前の飼猫の所に行って、さまざまな芸を教えていた。この猫は、ここら 一帯の猫の親分であろう。
ある夜、猫共が、七、八匹門前のあばら屋に集まり、三味線太鼓の音もにぎやかに、歌っていた。 水無の六兵衛猫が遅かった。『水無の六兵衛猫が来ないうちはまったく調子が揃わないゴロニャン』と。
猫が古くなると踊りを踊るといわれ、また化けるともいわれる。猫の古いのを貓といっている。
(「長沼名義考」より)
八ノ口の由来 《志茂》
八ノ口の北に、大林という字名がある。名の如く自然の大密林で、獣類や鳥類が沢山住んでいた。