長沼町の伝説 -011/224page
らい、うすころばしと弥五六にも食べさせてやろうと、重いごちそうをさげたので踊窪へつくのが少しば かりおくれてしまった。
うすころばしと弥五六は待ちきれずに二人で踊りはじめた。
矢田野の権坊猫こなくつちや
さっぱり 調子がそろわねえ
しっちょいさ しっちょいさ‥‥何回も踊ってつかれてしまったうすころばしと弥五六は、「権坊猫は飽きてやめたんだろう、おれらも やめよう」といって帰ってしまった。権坊猫が踊窪についたのはうすころばしと弥五六が帰って間もなく であった。権坊猫は、「せっかくご馳走を持って来てやったのに、なんだうすころばしと弥五六は飽きて しまったのか、ほんじゃおれもやめっぺ」といって踊らなくなった。
(話者 内山正雄)
千海寺の妖怪 《新 田》
桙衝新田に昔、千海寺という寺があった。住職の老僧が死んで、留守居の者が住んでいた。
夜な夜な、何者かが雨戸を叩く。その音がズイトンボーというように聞こえた。留守の者は、非常に 恐れて、この事を村人に知らせた。村の血気にはやる五、六名の若者たちが、「それは面白い 妖怪を見