長沼町の伝説 -013/224page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

  矢坦の弥ヱ門どんの尻り切り猫が
  こないうちはさっばり調子が揃わない
  しつちょいさ しつちょいさ

 と調子よく踊っていたという。猫が年老いると、化けるということをよくいうが、こんなことを聞け ばなるほどとうなずかれる。

 私たちが子どものころ、年老いた人から聞いた話である。

        (話者 矢田野 小林要作)

与右ヱ門の化物屋敷 《堀込》

 堀込宇内屋敷に通称「与右ヱ門屋敷」と呼ばれている所がある。

 その昔、与右ヱ門という一人の百姓が住んでいた。ある日のこと、与右ヱ門の家で飼っていた数十羽 のニワトリが、一晩のうちに何者かに喰い殺されてしまった。

 これは狐のやつの仕業にちがいないと、腹をたてた与右ヱ門は、ねずみに毒を入れ、油でいためて狐 の食べそうなご馳走をつくり、今夜もきっとくるだろうと、物かげで今やおそしと待ちかまえていた。

 夜がふけ、あたり一面が静かに寝静まったころ、一人の侍が通りかかった。

 侍と与右ヱ門が世間話しをしていると、侍は、うまそうなご馳走があるのを見つけて、与右ヱ門のい


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は長沼町教育委員会に帰属します。
長沼町教育委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。