長沼町の伝説 -017/224page
植物に関するもの
永泉寺の広葉杉 《長沼》
長沼永泉寺の広葉杉は、今より約四五〇年ほど前、永正十四年(一五一七)、三代目住職、心操全忠大 和尚が、曹洞宗の本山永平寺より当寺に入山する時、自分が愛育していた広葉杉の植木を持参したもの と伝えられている
昭和三十六年、福島県天然記念物に指定された。樹高三一メートル、目通り三・七七メートル、根廻 り六・一七メートル、枝張り八メートル、別名カントン杉、琉球杉、オランダモミなどといわれ、中国 が原産である。四国、九州地方に産するもので、北緯三〇度が限界とされている。
今より十五年ほど前に、町の有志の招きでこの寺を訪れた広葉杉の研究家、福田次郎(当時高知大学 農学部教授)が調査した結果、日本では最も古く、最も大きい広葉杉と折紙がつけられた。それ以前は変 った木で、地方でははっきりした名前は一般には知られていなかった。
永泉寺は應仁二年、総持寺よりこの地に来た麒山馨麟大和尚によって開山された寺である。天文年間、 会津の領主、芦名氏が日高見山に城を築き、新国氏が領主となると、その菩提寺として帰依された名刹 である。