長沼町の伝説 -021/224page
『坊様わらび汁だが、今朝ゆでだ(あく抜き)ばかりでにがかっ べげんじも』といってご馳走した。
旅僧は老婆の親切に大変喜んで食べた。
そして、『婆さん大変ご馳走になった。また元気で旅することが できる。それにしてもわらびはゆでないと食べられないとは不 便なものよのう。お礼に今度から、ゆでないで食べられるわら びにして上げよう』といって、呪文を唱えて立去った。
その後、老婆が取って来た所には、ゆでなくてもそのまま煮 て食べられるわらびが生えるようになった。苦くないのでこの 村では、「甘わらび」と呼ぶようになった。この旅僧は、弘法大 師であったと伝えられている。
小中字十日市俗に申内と赤坂と呼ぶ山の、限られた面積にしか生えなくて、普通のわらびより細く早 く生えるわらびを『甘わらび』と呼び弘法様のお授けと伝えられている。
(話者 古川 明)
ねんがら杉 《新田》
新田部落の西北、桙衝字門無地内に通称「ねんがら」と呼ばれている円谷正人氏所有の田圃がある。