長沼町の伝説 -022/224page
この田圃の畔道に、大きな杉の木が一本つい最近まであった。人々はねんがら杉と呼んで、親しみを もっていた。
この杉は、古くから続いた遊びに「ねんがらぶち」というのがあってその遊び道具である杉のねんがら がくいついたものだという。
ねんがらぶち遊びは、直径二・三センチ、長さ三〇センチ程の木の先をとがらせたものを、適当に湿 っていてよくささる田や庭の隅で勝負する男の子の遊びである。年輩の方ならだれでもが一度ぐらいは 遊んだことのある楽しい遊びであった。
一人が地面に力いっぱいねんがらをぶち込むと、相手はこの根元めがけて自分のねんがらをぶち込み、 さきのものを倒せば勝てるが、倒れなければ、交替で何度もやり合う。こうして子どもたちは日暮まで ねんがらぶちに熱中した。
ねんがら杉は、こうしたなつかしい遊び道具の杉のねんがらが、生きづいて大木となったものである。
この近くに、その昔、鍛冶屋があってみごとな真弓の大木があったと伝えている。
(話者 岡部利重)
古舘の桜 《古館》
古館屋敷の東北の地に、大きな紅しだれの桜がある。樹高一二メートル根廻り、六メートル、目通り