長沼町の伝説 -030/224page
伝えられている。なお上部の中央部に柱を建てたらし いやゝ長方形の、深さ一〇センチの穴がほられてある。
また、こんな話もある。幕末の頃、矢部某なる人が空 を飛ぶ鳥を見て、人も飛べないものかと雀の各部を秤 にかけ詳しく調べ、自分の体に似合うように翼を造っ て身につけ、この岩より飛び下りた。しかし、うまく 飛ぶことができず下方のもだにひっかかって一命をと りとめたのだという。この人は空へのあこがれの先駆 者と評されている。
(話者 桑名四郎)
地蔵岩の話 《長沼》
弥五山の東方、北に面する斜面に地蔵岩がある。岩そのものの形になぞらい、名づけられたものと思 われる。地蔵尊はその西方の岩壁の上に建てられていた。
この地蔵岩は多くの人々に親しまれ、眺めのよいところから、旧三月初酉の日には家を挙げて出向い たという。その広さは畳五、六枚ほどもあり、子どもたちの山遊びにも利用されていた。惜しいことに