長沼町の伝説 -038/224page
滝の湯の由来 《滝》
今から約四百年ほどの昔、元亀年間、長沼村に又七という狩人がいた。又七は毎日山野を歩き、獲物 をとってきては生計を立てていた。
秋もおしつまったある日、又七は滝村の川沿いを歩いていると、滝つぼがあり、そのそばに沢山の動 物が集まっていた。
又七は弓矢で射たところ、獲物は逃げ、その場から渇けむりが立っているのが見られた。
しばらく見ていると、湯天様が真白な姿で現れて、「これは万病に効く湯であるから大切にしろ」と いう御告げをして消えてしまった。又七は、動物たちは この湯の中で傷を治していたのだろうと考えた。
又七は、湯天様の御告げ通りに猟師をやめて、大滝の そばに小屋を造り湯屋を始めた。
湯屋は、傷はもちろん、万病に効く滝の湯を伝え聞い た近郷近在からの多くの湯治客でにぎわった。その後、 滝の湯は村人たちが交代で営むようになったが、天保年 間、村役鈴木勝吉という者の手に渡った。
会津から来たある旅人の話では、その昔、会津の領主