長沼町の伝説 -045/224page
にある御前清水と同じ水口であって、片方の清水を手杵でかき廻すと片方も濁るといわれた。この清水 で眼を洗えば、眼病が治るといわれて、眼の悪い人の信仰がある。
滝山の清水は、村の南の方向で、上松本に通ずる道路側にあり、水量は細いが、岩肌を滝のように流 れているので、その名がある。
三升蒔の清水は、境之内の前の山麓、三升蒔地内より湧き出ているので、その名がある。現在も境之 内地区の一部で、飲用水に使っている。
(話者 古川明)
御前池と耳のあるウナギ 《小中》
小中、字志茂の前の西山裾に、御前池というところがある。 御前様が祀られてあり、きれいな清水が湧き出ている。また 近くには沢山の小さなイズボ(湧水池)がある。
昔、そのイズボのまわりに二〇メートル四方の池を造り、 水を溜めた所に手杵を浮べたところ、山蔭の南の弁天の清水 に手杵が流れ出た。そしてこちらは水が出なくなってしまっ た。これでは困るので池の土手を切り水を減らしたら、今度 は手杵が御前清水に出て来た。それで御前清水と弁天の清水 は、昔から水口が同じだといわれている。