長沼町の伝説 -046/224page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 このイズボには耳のあるウナギがいるといわれる。このウナギは御前様の使いで人の言葉が分かり、 ウナギが現れると、屋敷に何事か起きるといわれた。とくに金物の音をさせると、ウナギが出るという ので、ここのイズボの水をはらってドジョウなど取るときは、金物の器は使わないで木の桶やお椀など ではらい、ヘラのような物で泥を払った。大正の終り頃までこのような話が語り継がれていた。

        (話者 内山正雄)

トラが淵 《上木之崎》

 木之崎、前屋敷の南を流れる川に、トラが淵と呼ぶ深い所があった。昔、トラという村の女が、夏も 終り、汚れたカヤ(蚊帳)を洗ったところ、水神様の怒りにふれて、川の流れがにわかに渦巻いて深くな り、トラは水の中に呑まれてしまった。

 それ以来、ここを、トラが淵と呼ぶようになった。今は河川工事で変って、昔の面影はない。またこ の地方では「カヤ」は、川で洗うものでないといわれている。

        (話者 森田昌司)

毒清水

 木之崎字明道に、今もこんこんと湧き出ている清水を毒清水と呼んでいる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は長沼町教育委員会に帰属します。
長沼町教育委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。