長沼町の伝説 -056/224page
深さ二〇センチほどの刻込みがあり、中央に大きな梵字一字が刻まれている。これは桝形と呼ばれ、三 つ壇より直線の場所である。古くよりこれに詣る人もあったといわれ、この桝形が三ツ壇の碑といわれ ている。
(話者 柏村英一)
死人沢と面剥沢 《下江花》
江花高士山地内、小松沢の奥に死人沢という小さな沢があ る。その西南下方丘の蔭の小さな沢、これを面剥沢といって いる。
昔、久保屋敷に怠け者で性悪く、貧困で人の交際もなく、 淋しく暮す農家があった。
ある年の秋、一人の僧(ろくぶ)が托鉢して村を廻り、日が 暮れて、一夜の宿をそのよからぬ家に求めた。
その後、村人は憎が村から出て行った姿を見たものがいな いと噂しあった。そのうちに、火打山の沢に死体があること がわかり、村役人より取片づけを命じられた村の当番たちは