長沼町の伝説 -070/224page
いない。
田向池の水がひくと、重兵衛が堀ったと伝えられる井戸が、 池の中に見られるという。
田向池の近くに、一日三度でるといわれる清水が現在も残 っている。滝部落の人々は毒清水といって、誰も飲む人はい なかった。なぜ毒清水といい伝えられたのか、知っている人 は誰もいない。
重兵衛は滝部落の小針某家の先祖といわれる。
(話者 小針 平)
滝の美人さま 《滝》
昔、滝部落に振屋敷とよばれる屋敷があった。この屋敷には武士が住んでいた。
武士には一人の美しい娘がいて、村人たちは娘を美人さまとよんでいた。娘は年中美しい振袖を着て いて、村人たちのあこがれのまとだった。
それから誰いうとなく、武士の屋敷を振屋敷とよんだ。今は古屋敷とよんでいる。
(話者 小針 平)