長沼町の伝説 -088/224page
を造営願望の達成を喜んだ。
また城門の鎮護と、庶民の安穏を心から祈願したと伝えられる。
今は一面が畑で、昔を偲ぶことはできないが、時折り一字一石の小石を見出すことがある。
明治六年、廃寺の時、本尊であった正観世音は多くの信者によって、長寧寺境内にお堂を建て遷座し、 大日如来像とともに安置されている。
(話者 本田栄三)
岩崎山 《木之崎》
岩崎山は横田、木之崎の中間の北の山で、岩壁の巨岩が露出して、山上には緑の松がそびえ立ち、大 変、風光明眉の地である。
ここは古くから当地方の靈地で、沢山の供養塔がある。古代は、桙衝亀居山と並び、原始信仰の場所 で、それが当地方の靈場化となったのではなかろうか。
俗称、えぞ穴と呼ばれる岩窟の奥壁は、蓮華座をもつ、阿弥陀の種子、種子と年号の間に、「光明真 言」の梵字が三行ある。
右志者為印範 房
敬白